ろれつが回らないと感じたら
「言葉がうまく発音できない」「話しているのに、ろれつが回らずうまく伝わらない」。
ろれつが回らない状態(構音障害)は、疲れやお酒などによる一時的なものもありますが、脳卒中をはじめとする脳の病気のサインであることも少なくありません。特に「突然」ろれつが回らなくなった場合は、一刻を争う病気が隠れている可能性があります。
高齢者の「ろれつ」が回らない症状
高齢の方に「ろれつが回らない」様子が見られたとき、まず大切なのは、それが「突然」なのか「徐々に」なのかを見極めることです。
あらわれ方によって、考えられる背景が異なります。
突然、ろれつが回らなくなった場合
脳梗塞や脳出血など、脳卒中が強く疑われます。一刻を争う状態のことがあり、すぐに救急受診が必要です。
特に、顔や手足の片側の麻痺・しびれをともなう場合は緊急性が高くなります。
徐々に、ろれつが回りにくくなってきた場合
ゆっくり進む場合は、次のような背景が考えられます。
- パーキンソン病など、神経の病気
- 認知症の進行にともなうもの
- 小さな脳梗塞が積み重なっているもの
- 加齢による、口やのどの筋力の低下
高齢の方の場合、ご本人が自覚しにくかったり、「年のせい」と見過ごされたりすることも少なくありません。だからこそ、ご家族が「最近、話し方が変わった」と気づくことが、早期発見の大切なきっかけになります。
少しでも気になる変化があれば、一度ご相談ください。
ろれつが回らなくなる原因
ろれつが回らなくなる(うまく発音できなくなる)のには、いくつかの原因があります。
言葉を発するには、脳からの指令が、口・舌・のどの筋肉に正しく伝わる必要があり、その流れのどこかに問題が起こると、ろれつが回りにくくなります。
脳の病気によるもの
神経・筋肉の問題によるもの
- 口や舌、のどを動かす神経の障害
- 筋肉の力が低下する病気
一時的・その他の原因
- 疲れや睡眠不足
- お酒(飲酒)による酔い
- 薬の副作用
- 脱水や体調不良
当院での診察・検査について
問診
いつから、どのように症状が出たか(突然か、徐々にか)、他に気になる症状はないかをお伺いします。
ご家族が気づかれた変化も、大切な手がかりになります
診察
舌や口の動き、顔の表情、手足の動きなどを確認し、どこに問題があるかを見極めます
MRI検査
院内のMRIで、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などが隠れていないかを詳しく調べます
血液検査など
全身の状態や、症状に関わる要因がないかも確認します
これらの検査によって、ろれつが回らない原因が、脳の病気によるものか、神経や筋肉の問題か、あるいは一時的なものかを診断します。
リハビリテーションについて
脳卒中などの後に、ろれつの回りにくさ(構音障害)が残った場合は、言葉や飲み込みのリハビリテーションが役立ちます。
口や舌の動きを整える訓練などを通じて、少しずつ改善を目指します。必要な場合は、リハビリの体制が整った医療機関と連携してお手伝いします。
再発予防と生活のサポート
特に脳卒中では、再発予防がとても大切です。生活習慣病の管理や生活の見直しを、脳神経の専門的な視点からお支えします。
「これからどう付き合っていけばよいか」という不安も、一緒に考えてまいります。ご本人とご家族が安心して過ごせるよう、サポートいたします。
よくある質問
突然ろれつが回らなくなりました。すぐ治りましたが受診すべきですか?
はい、必ず受診してください。
症状が一時的に消えても、脳梗塞の前触れ(TIA)の可能性があります。放置すると本格的な脳梗塞につながる危険があるため、できるだけ早くご相談ください。
高齢の親のろれつが、少しずつ回りにくくなっています。年のせいでしょうか?
加齢による筋力低下のこともありますが、パーキンソン病や小さな脳梗塞などが背景にあることもあります。
「年のせい」と決めつけず、一度原因を調べることをおすすめします。
お酒を飲むとろれつが回りません。問題ありますか?
飲酒による一時的なものであれば、多くは心配いりません。
ただし、飲んでいないときにも症状がある場合や、繰り返す場合は、別の原因が隠れていることもあります。
ろれつが回らないほかに、どんな症状に注意すればよいですか?
顔や手足の片側の麻痺・しびれ、言葉が出ない、突然の頭痛、物が二重に見えるなどをともなう場合は、脳卒中が疑われます。すぐに救急要請してください。
検査ではどんなことが分かりますか?
MRI検査で、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などが隠れていないかを確認できます。